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Prism機能紹介
酵素反応速度曲線のフィッティング
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酵素反応速度曲線のフィッティング

GraphPad Prismでは簡単にモデルのデータへのフィットが行えます。ここではGraphPad Prismの操作法に留まらず、非線形回帰の原理(モデルの比較、外れ値の特定、グローバルフィッティング、等を含む)についても考察します。

当ページの内容に関して

当ページの内容はGraphPad Prism7フィッティングガイドのPg.118-123に準じた内容となっています。Prism8とインターフェイスや語句が異なる箇所がありますが、基本的な操作方法は同じです。(Prism8フィッティングガイドの該当箇所はPg.254-260になります)。

線形/非線形回帰の違い

線形/非線形回帰のゴール

直線は傾きとY切片を与えることによって規定されます。線形回帰(linear regression)の目的とするところは、傾きとY切片の値を調整し、直線がデータに最も良くフィットするようにすることです。非線形回帰(nonlinear regression)は線形回帰に比べより一般的であり、データを任意の数式(Yの値を規定するXの関数)とパラメータにフィットさせます。具体的には曲線がデータに最もフィットするようなパラメータ値を見つけ出します。

線形/非線形回帰の演算ロジック

線形回帰、非線形回帰は共に、直線、あるいは曲線が最もデータにフィットするようなパラメータ値(線形回帰の場合は傾きとY切片)を見つけ出します。より正確に言うと、そのゴールはデータ点から直線/曲線への垂直距離(Y軸方向に沿った距離)の2乗和を最小化することです。

線形回帰は代数演算(多くの統計書に記述されています)を駆使してこのゴールを達成します。データを投入すれば答が返ってきます。あいまいさは全くなく、その気になれば手計算でも行うことができます。

非線形回帰の場合には微積分や行列演算を駆使した反復演算手法が用いられます。その際、パラメータごとに初期推定値を指定する必要があります。

GraphPad Prismによる酵素反応速度論曲線のフィット

Step-1. データテーブルの作成

Welcomeダイアログ上で「XY」を選択、サンプルデータにあるEnzyme kineticsリストから Michaelis-Menten を選択します。

Step-2. データのチェック

サンプルデータは一部、操作法を説明したフローティングノートによって隠されているかも知れません。適宜移動するか縮小してください。反復データは3重になっています。一部データが欠落していますが問題はありません。

Step-3. グラフの表示

GraphPad Prismはグラフに対しデータテーブルと同じ名称が自動的につけられます。ナビゲーターのGraphsにある Michaelis-Menten data をクリックするとグラフが表示されます。

Step-4. 非線形回帰の選択

Analyzeボタンをクリックし、XY analysesのリストからNonlinear regression (Curve fit)を選択します。

Step-5. モデルの選択

Nonlinear regressionダイアログのFitタブ上で Enzyme Kinetics- Subtrate v Velocity 数式パネルをオープン、Michaelis-Menten を選択し、OKをクリックします。【右図参照】

 

Prism8以降

Modelタブにある Enzyme Kinetics - Velocity as a function of substrate リスト下の Michaelis-Menten を選択し、OKをクリックします。

Step-6. グラフのチェック

曲線が追加されたグラフが生成されます。グラフに平均値とエラーバーを追加する場合は、Format Graphダイアログから行います。グラフをダブルクリックして、Format Graphダイアログを開き、Appearanceタブをクリックします。Style 項目の Appearance から Mean and Error を選択します。

Step-7. 結果のチェック

非線形回帰のゴールはパラメータの最適合値を求めることです。これらはテーブルの先頭に出力されます。しかしその精度が分からなければ、意味が本当に分かったとは言えません。これは標準誤差(Std. Error)と信頼区間(CI)として出力されます。

Step-8. 元に戻って繰り返し値を実行

繰り返し値検定は、繰り返しデータのバラツキと、曲線の周りに散らばるデータポイントのバラツキを比較してフィッティングの適合度を評価します。特に指定しなければ、Step-7 での結果テーブルには表示されていません。シートの左上にある ボタンをクリックし【右図参照】、Parameters: Nonlinear Regressionダイアログを開き、分析パラメータの設定を行います。

Prism8以降

メニューバーのAnalyzeボタンの右横にある Change analysis parametersボタン をクリックし、Parameters: Nonlinear Regressionダイアログを開き、分析パラメータの設定を行います。

Step-9. パラメーターの変更

Parameters: Nonlinear RegressionダイアログのDiagnosticsタブをクリックし、Does the curve systematically deviate from the points? 項目のReplicates testにチェックを入れOKボタンをクリックします。【右図参照】

 

Prism8以降

Parameters: Nonlinear RegressionダイアログのDiagnosticsタブをクリックし、Are residuals clustered or heteroscedastic? 項目の Replicates testにチェックを入れOKボタンをクリックします。

Step-10. 結果のチェック

P値は小さな値となっています(0.013)。すなわちデータの曲線からのバラツキが繰り返しデータ間のバラツキから期待されるものに比べて大きいということです。このことは別のモデルによるフィットを検討した方が良いことを示唆しています。