Geneious Prime チュートリアル
Geneious PrimeのHelpメニューにある Tutorial(チュートリアル) を日本語に訳したものです。このチュートリアルでは、Geneious Primeの基本的な使い方として、インターフェースの概要、データのインポートと管理、配列の表示と編集、解析の実行について説明します。
1. Geneious Prime インターフェイス
Geneious Prime は5つのエリア(パネル)から構成されています。
ソースパネルには、ローカルドキュメントのフォルダ構成が表示され、NCBI、Uniprot、Shared Databases(設定されている場合)との接続のためのインターフェイスが提供されます。
ドキュメントテーブルには、選択したフォルダのコンテンツが表示されます。表中のドキュメントを選択すると、その内容がドキュメントビューアーに表示されます。
ツールバーには、Geneious の共通機能へのショートカットや、前に閲覧したドキュメント間を移動するための Back と Forward ボタンが用意されています。ツールバーをカスタマイズして機能を追加するには、ツールバー領域で右クリックします。
ヘルプパネルにはソースパネルの項目やドキュメントビューアーで選択されたタブを選択した際に、選択した項目や機能に関する説明やヒントが表示されます。

2. ローカルドキュメント
ソースパネルの上部にある Local フォルダには、コンピューターのローカルに保存されている Geneious Prime データベースのすべてのフォルダとドキュメントが含まれています。Geneious Data フォルダがコンピュータのどこにあるかは、Tools → Preferences にある Generalタブで変更することができます。
ドキュメントはフォルダーの "ツリー" に格納され、各フォルダーの前の または
(Macの場合は
)をクリックすると、展開したり折りたたんだりすることができます。フォルダを右クリックすると、新しいサブフォルダを追加したり、既存のフォルダの名前を変更、削除、色付けしたりすることができます。
初めて Geneious を起動する場合、Geneious でよく使用される様々な種類のファイルが入った Sample Documents フォルダが表示されます。もし Sample Documents がない場合は、File → Import → Sample Documents を選択することでインポートすることができます。
Alignments フォルダをクリックすると、そのフォルダの内容が ドキュメントテーブル に表示されます。その中のドキュメントを選択すると、下のドキュメントビューアーでどのように表示されるかを確認できます。
ドキュメントの横にあるアイコンは、ドキュメントの種類を表しています。
各ドキュメントに関連するメタデータは列で表示されます。この情報は、セル内をクリックすることで表内で直接編集することができ、列のヘッダーを右クリックすることで列を表示/非表示にすることができます。列が多い場合は、表を横方向にスクロールさせることができます。表中の列の順番を変えるには、ドラッグ&ドロップで位置を変えるだけです。


3. データのインポート
最初にデータを保存するための新しいフォルダーを作成します。Localフォルダを選択し、ツールバーの File から New Folder を選択、またはLocalフォルダの上を右クリックし、メニューから New Folder を選択します。
このフォルダに Test Imports などの名前を付けて OK をクリックし、ソースパネルで新しいフォルダを選択します。フォルダは空のため、ドキュメントテーブルに項目は表示されず、フォルダ名の後のファイル数は(0)になっています。
サンプルファイルをインポートするには、ここをクリックして Sample Importable Files フォルダを開き、sampleDNA.fasta ファイルをGeneiousウィンドウにドラッグ&ドロップしてください。選択したフォルダ(ここでは Test Imports)にファイルがインポートされ、フォーマット(ここでは FASTA)が自動的に検出されます。配列をリストに保存するか、別々に保存するかをGrouping Sequenceダイアログで決定します。
シーケンスを別々にすることを選択した場合、各シーケンスはドキュメントテーブル内の別々のドキュメントにインポートされます。リストを作成することを選択した場合、すべての配列を含む1つのドキュメントがドキュメントテーブル内に作成されます。配列リストは、多重螺旋のアイコンで示され、関連する配列を1つのドキュメントにまとめることで、大量の配列の管理を簡単にします。
ここでは Create sequence list をクリックします。作成されたリストが選択され、このリストに含まれる配列がドキュメントビューアーに表示されます。
メニューバーから File → Import → From File…を選択して、ファイルをインポートすることも可能です。
4. NCBI からのダウンロード
ソースパネルにあるNCBI検索インターフェイスを使って、NCBI(Genbank)データベースから直接ファイルをインポートすることができます。
NCBIのタンパク質データベースを検索するには、NCBI から Protein を選択します。
ドキュメントテーブルの上の検索フィールドに「Cheetah MHC」と入力し、Search をクリックすると、数秒後にドキュメントテーブルに結果が表示されます。

結果の一つをクリックします。配列はドキュメントテーブルの Sequence View に表示されます。Text ViewをクリックするとGenbankフォーマットでの出力が表示されます。
さらなる解析のためにドキュメントを保持したい場合は、NCBI検索インターフェースからローカルフォルダに移動させる必要があります。これを行うには、検索でヒットした最初の数件を選択し、ドキュメントをローカルフォルダにドラッグします。
大きな配列が返された場合、表示される結果はサマリー文書のみで、アイコンはグレーアウトしていることに注意してください。完全なドキュメントを取得するには、Download full sequenceボタンをクリックします。完全なシークエンスをダウンロードするのは、ドキュメントをローカルフォルダーに移動する前でも後でもかまいません。

5. シークエンスの表示と編集
Sample Documents の Alignments フォルダから COXII CDS alignment を選択します。
ドキュメントテーブルのAlignment Viewで、コンセンサス配列の約 150 から 200 の塩基を選択し、ビューアの右側のパネルの上部にあるボタンをクリックして、この領域にズームインします。
と
をクリックすると、さらにズームイン、ズームアウトすることができます。
このアラインメントのミスアセンブリを修正することにします。
まず、ツールバーのAllow Editingボタンをクリックします。そして、アラインメントの155番目の塩基に移動し、Gnateaterの配列を見てください。鳥類の配列はこの時点で3つのギャップが挿入されていますが、Gnateaterの配列はギャップが間違った場所にあることがわかります。4つの塩基 CTAC を選択し、右にドラッグして、鳥類の配列のすべてのギャップが並ぶようにします。

Alignment Viewタブ - Allow Editingボタン
Saveをクリックして修正したアライメントを保存します。元の配列に変更を適用するかどうか尋ねられた場合は Yesをクリックします。
他の編集を試してみて、アライメントがどのように変化するか見てみましょう。
1. Orangutanの配列に塩基を追加したり削除してみましょう。追加または削除した残基の下に、挿入または削除の注釈が表示されるはずです。塩基を挿入すると、デフォルトでは配列が右側に押されることに注意してください。もし、塩基を挿入するときに塩基配列が左に寄ってしまう場合は、Shift キーを押しながら挿入してください。同様に、塩基を削除するとき、デフォルトでは塩基は右から削除された領域に移動されます。削除の際に塩基を左から移動させるには、Shiftキーを押しながら deleteキーを押してください。
2. Consensusmの配列をクリックし、残基の文字列を挿入します。これで、アラインメント内の全ての配列に残基が追加されることがわかります。
3. Humanの配列名をクリックして一番上にドラッグし、アラインメント内の配列を並べ替えます。
4. 配列名を右クリックし、Remove sequence を選択して、Human 配列を削除します。または、配列名をクリックして配列全体を選択し、deleteキーを押してください。
5-1. アノテーションの追加
COXIIアライメントのOrangutanの文字をクリックしてOrangutan配列全体を選択し、Add Annotationボタンをクリックしてアノテーションを追加します。
Add annotationダイアログの Type で CDS を選択し、名前として COXII と入力します。必要に応じて、Properties セクションに遺伝コードなどアノテーションのプロパティを追加入力することができます。OKをクリックすると、配列の下に黄色のCDSアノテーションが表示されます。
このアノテーションを右クリックし、Annotation → Copy to を選択して、アライメント内の他のすべての配列にコピーします。このポップアップメニューから、アノテーションの編集や削除を行うこともできます。
右側のパネルの Annotation and Tracks タブには、アノテーションのオン/オフやアノテーションの外観を編集するためのオプションがあります。

6. Geneious Primeの機能
Geneious Prime ウィンドウの上部にあるツールバーボタンから多くの機能にアクセスすることができます。その他の機能は、Tools、Sequence、Annotate and Predict メニューで利用可能です。
例として、基本的なアライメントを実行してみましょう。Sample Documents の Alignments フォルダにある Ig variable region 配列リストを選択します。次に、ツールバーのAlign/Assembleボタンをクリックし、Multiple Alignを選択します。Geneious、MUSCLE、ClustalWなどのアライメントアルゴリズムが選択できることがわかります。
OK をクリックすると、Geneious アライナーを使用して、デフォルトのアライメント設定が実行されます。アライメントが終了すると、新しいアライメント文書がカレントフォルダに追加され、選択されているはずです。アライメントが Alignment View に表示されます。
アライメントが表示されない場合は、ドキュメントテーブルでアライメントが選択されていることと、ドキュメントビューアーの Alignment Viewに設定されていることを確認してください。
7. ドキュメント履歴
Geneious Prime のドキュメントの履歴を見るには、ビューアの上にある Info タブを開き、ビューアの右側にある History をクリックします。
前のセクションで作成した "Ig variable region "のアライメントのドキュメント履歴をみてみましょう。

使用した操作や、入力文書へのリンクが表示されます。
ドキュメントに編集を加えて保存すると、その内容もここに記録されます。アライメントを作成するために使用したオプションを表示するには、Show Optionsボタンをクリックします。これにより、選択したオプションが表示されたアライメント設定ダイアログが無効化されて表示されます。
また、Lineageタブでは、ドキュメントの親文書と子文書を表示することができます。作成したアライメントドキュメントの Lineageタブをクリックします。Parentsセクションには、そのアライメントが作成されたドキュメントと、使用された操作の簡単な説明が表示されます。このアラインメントからは何もドキュメントが作成されていないので子文書は存在せず、したがってDescendantsセクションに "There are no decendants to show with the current settings (子文書はありません)" と表示されます。

ユーザーマニュアルについて
Geneious Primeユーザーマニュアルには、Geneiousの操作方法や機能の詳細が記載されています。Geneiousのオンラインマニュアルは、ツールバーの Help→Online Resources→User Manual から見ることができます。
また、Biomatters社のオンラインチュートリアル Geneious Prime Tutorials でも、Geneious Primeの機能・特徴を紹介しています。オンラインチュートリアルは、実際の研究データを使って作成されています。